先日、BMW Japanから、このような輝かしい発表がありました。
■ 2016 年の BMW グループの販売台数は対昨年比で約 11.6%の伸びを示し、75,119 台に。
■ BMW ブランドは 2 年連続で伸長し、過去最高となる 50,571 台に。
■ MINI ブランドは 8 年連続で伸長し、2015 年の過去最高に引き続き、2016 年も過去最高を更新し 24,548 台に。
■ MINI は車名別販売台数でトップに。
昨年はBMW、MINIともに販売台数が著しく増加し、過去最高を更新すると共に日本のインポーターでトップだった、という概要です。
先日の当ブログ記事でもお伝えした「MINIが(VW GOLFを抜き)車名別で1位になった」ことも報じています。
ですが、個人的に少々気になる点があったので、2013年のBMWブログ記事以来、4年ぶりにグラフで分析してみました。
日本におけるメジャーな輸入車ブランドの2000年以降の年間登録台数のグラフです。
「BMW+MINI」は、2015年・2016年と著しく増加し、最高記録を更新しています。
BMWは、リーマンショック(2008年)が収まってからはほぼ毎年増え続け、2016年はついに過去最高だった2006年を越えました。
MINIも2010年以降は順調に増え、かつてのライバルだったプジョーをトリプルスコアで突き放し、再びAudiの背中が見えるようになりました。
競合他社の動向としては、Benzは2008年以降は順調に伸びています。
VWとAudiは2年連続で減少しました。特にVWは2年で3割も減らしています。
(2015年のディーゼル不正問題によるイメージダウンと、それによってディーゼルの日本導入計画が遅れ、未だに実現できていないことも原因だと思われます。)
ちなみにVWとAudiは本国メーカーは同じグループですが、インポーターは別会社です。また、日本でのディーラーネットワーク(運営会社や店舗)も完全に分離しています。
それに対して「BMWとMINI」はインポーターが同一(BMW Japan)で、ディーラーネットワークの共有も多く、より密接に結びついています。
なので、この「インポーター毎の集計」には意義があると思います。
同様に、「Benz と smart」も、インポーターが同じ(メルセデス・ベンツ日本)で、同じディーラーネットワークで売られています。
smartは価格(201万円~)も排気量(900cc)もMINIとはバッティングしませんが、「Benz + smart」も一応グラフに加えてみました。
(日本自動車輸入組合:JAIAのHPには2005年以降のデータしか載っていなかったので、smartのグラフはそれ以前はありません)
それによると(僅差ではあるものの)、「Benz + smart」を押えた「BMW + MINI」が、NO.1インポーターであることが分りました。
※ 尚、BMW Japanの発表では「BMW グループの乗用車販売台数が外国メーカー輸入車において 8 年連続でトップとなる 75,119 台となったことを発表した。」とありますが、JAIAのデータを見る限り、この文章は正しくないと思われます。
(2016年のBMWとMINIの合計が75,119台というのはデータ通りですが、グラフにも表れているように8年連続でトップということはなく、VWに対して過去15年で8勝7敗と拮抗しています)
恐らく、「(2年)連続で、8回目のトップとなった」という内容が(先に英文で作成され、それを和訳する際に?)誤った記述になったのではないでしょうか...?
さらに、別のグラフも作成してみました。
日本における輸入車全体の台数を100%とした場合の割合です。
(ただし、日本メーカーの「逆輸入車」は除きます)
すなわち「輸入車販売のマーケットシェア」です。
リーマンショック等の景気動向を除外した、「輸入車の中での人気度」が表れています。
「BMW+MINI」とBMWは、2015年・16年とシェアを増加させました。
(それでも過去最高だった2007年にはまだ及ばないようです)
MINIは2002年のスタート以来、比較的順調にシェアを伸ばしています。
他社では、ここ2年のVWの大幅な下落と、ここ数年伸びたBenzの上げ止まりが分かります。
これらのグラフを見て思うことは・・・
BMWグループは近年、SUV・クロスオーバー・ファミリーカーなど、積極的に車種を増やしてきました。
さらに、既存のガソリンエンジンに加え、ディーゼル・PHEV・EV・ダウンサイジングターボなど、動力源のラインナップも増やしました。
その積極的な商品展開が、販売台数やシェアの増加に結びついていると思います。
一方、車種や動力源のラインナップ増加が見劣りしたブランドは、いずれもシェアを落としています。
自動車に限らず、「ベーシックな定番商品より、個性的で多様な商品が好まれる時代」だと言えるかもしれません。
益々多様化する価値観への適合が、これからの企業の成長には不可欠だと思われます。
BMWグループは、今後も個性的で魅力的な商品を創り出してくれると思います! G.Sekido
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